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掛け替えのない「いのち」

ふれあいセカンドスクールでの「宿泊体験学習」(年中組2泊3日・年長組3泊4日)を残して、一学期の教育活動のすべてを無事に終え、明日から「夏期休暇」に入ります。お子さまのめざましいご成長の陰で、園の教育を力強くお支え下さいましたご父母の皆さまに心から厚くお礼申し上げます。

明日から暫くの間、お子さまをご父母さまのもとへお戻しいたします。8月20日(月)の始業日に、心身共により一層成長して、元気な笑顔で再会できますことを教職員一同楽しみにしております。

8月は日本の伝統行事である「盂蘭盆」を迎えます。更に大東亜戦争の「敗戦記念日」もあります。盂蘭盆は私たちのご先祖さまをはじめ、血縁死者の冥福を祈る供養の日であります。私たち一人ひとりに繋がる「いのち」の確かめの日でもあります。大東亜戦争に「無条件降伏」をした「敗戦記念日」は、忌まわしい戦争で敵、味方共に尊い「いのち」が失われ、広島・長崎では地球上ではじめて「原子爆弾」が投下され、惨殺され、60年以上経った今なお放射能の後遺症に苦しみ病床にある人々の居ることを思いますと、「戦争は人間の狂気の沙汰」としか考えようがありません。

人間の争う形には、幼児が玩具をとりあったりする「子どものけんか」にはじまって、資源や領土や権力を奪い合う「戦争」に至るまで、その根底には「欲望」という共通のエゴが働いています。欲望をコントロールできる力を持っているのも「人間」です。「理性」とか「知性」とか「教養」とか、と呼ぶ力こそ欲望をコントロールできる「人間力」ではないでしょうか。

この人間力の具体的な行為がコミュニケーションです。つまり「意志疎通力」です。フィンランド教育の大きな柱の一つが「国際コミュニケーション力を培う」となっています。

「話して分かり合える」まで交渉(negotiate)し合うことは、今までの日本人には、極めて不得意の業でした。

しかし、資源も食料も充分でない日本にとって、日本人に求められる交渉力は世界の「共通語」(英語)を駆使して、ねばり強く相手の欲望を抑止し、狂気の沙汰にしないで冷静に解決する力を持つ以外に武力に対応する道はありません。

戦争の悲劇は絶対に避けなければなりません。私は生れてから中学一年の時まで戦争の中で育ちました。父が近衛兵の軍歴を持ち、二男だったので、生まれた時から当然のように軍国少年に育てられました。しかし、戦争に負け、アメリカ占領軍に支配され、戦後社会の混乱を経験して、「戦争には、絶対に良い戦争などない!」ことを子ども心に確信しました。

「一度しか生れてこないいのち」を幸せに生きる世の中は「平和」しかないことを、どうぞお父さま・お母さまの力で、夏休み中にお子さまの心の奥底まで滲み通してあげて下さい。楽しい休みでありますように。

2007年08月03日