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「知的好奇心」の高まる夏

暑い夏のはじまり7月を迎えました。朝の発見活動で食育ガーデンのトマトの苗に水をかけていた時、年中児の男のお子さまが私のところにかけ寄ってきて、「園長先生!山の木の葉が伸びて、山がすっかり大きくなり肥ってしまったネ」と声をかけてくれました。

山が肥って大きくなった。私の予想もしていなかった「ことばかけ」だったので、彼の気持ちに合致する私の返事が咄嗟にうまく出て来ませんでした。心の中では、この子はすごい「感性」を持っている!と、驚きと歓びの入り交じる強い感動を覚えました。

夏に山が肥って、冬に山が痩せるなどという感覚は、大人の常識の世界では思いつきにくいことでしょう。

自然界は、感受性豊かな幼児期にかぞえ切れない程多くのことがらを与えてくれます。幼児は、その多くのことがらに「どうして?」「何で?」……と問いかけます。その時々に「それは、こうですョ」とか「これは、こうなのだから、こうですョ」などと分かりやすく、納得して貰えるようにその場で話してあげれることが、特に年少さんや年中さんには、とても大切なことなのです。

「どうして?」「何で?」の質問は、「4歳の壁」(感情分化の進む時期)を迎えるころになると、何時の間にか自然に少なくなってしまいます。4歳後半になると、自分自身の経験(絵本・お話・実体験など)で、自分なりに理解していることも沢山あります。でも、その「知的蓄積」だけでは、外界に向っての旺盛な好奇心を満足させるだけにはなっておりません。

つまり、好奇心と好奇心をつなぐ鎖が大脳の中にしっかり網の目のように張りめぐらされていないのです。「しっかり網の目を張る」とは、因果関係や分類やことばの数の理解が充分に、しかも正確に習得されてゆく、ということです。この「正確に習得された好奇心」、これが「知的好奇心」なのです。

私が園の教育にとり入れている「教育方法」としての「行動科学」による体験学習は、まさに知的好奇心の充足といえるものであります。

脳科学の研究によりますと、人間の脳神経細胞がもつ「本能」は、1)「生きたい」、2)「知りたい」、3)「仲間になりたい」の三つ、だといわれます。この本能は、好奇心を持つことによって、脳のパフォーマンスをぐんと伸ばします。

ご両親さまが、わが子を「頭のよい子」に育てたい、とお思いでしたら、生れながらにして脳が持っている素晴しい力を発揮させることです。それは、日常生活の中での習慣として、幼児期は好奇心(興味や関心)を摘み取らないことが第一です。次は、家族同士でもお互いに相手をほめる日常生活に心がけることです。今月は一学期の終りの月で、17日から長い夏休みに入ります。

年中・長組さんの宿泊体験が楽しい思い出をつくれますように。

2010年07月05日